2012年12月24日月曜日

20年後

11月、葉山の友人Yさん家族が遊びに来てくれました。
妻の大学時代の先輩で
長女のさとちゃんは息子多聞と誕生日が近くて
ふたりの子どもが同時にできたような、
そんな気持ちは、きっとお互い持っているような気がします。


Yさんはいつもダナーのハイカットブーツを履いていて
それがまたとてもよく似合う。
愛用しているダナーは自分で靴底を修理しながら
もう20年は履いているそうです。
人間にしたらいくつくらいでしょうか。
私は健気で逞しいその靴の雰囲気がとても好きです。

そんなダナー先輩に憧れて
20年愛用してもらえるように
Yさんの靴をつくりました。
栃木レザーの肉厚のオイルレザーと
丈夫で弾性のあるウォーキングソール。

20年後、
子どもたちは二十歳。どんなことに夢中になっているでしょうか。
まだいっしょに暮らしているかな。
きっと子どもたちは覚えていないけれど
覚えていないからこそ、
きっと子どものころが知りたいに違いない。
子供に聞かれるかもしれない。

その時、
健気で逞しく佇むお父さんの靴が
この秋を、この時代を思い出すトリガーになってくれたら
この上なく嬉しい。

20年後もきっとまだ福島では放射能と向き合っているに違いない。
今日の子供たちは私たちを軽蔑するだろうか。いや、しないだろう。
きっと私たちよりもずっと強い人だと思うから。
ナウシカがそうであったように。



2012年12月22日土曜日

縫うひととき

久しぶりの更新になってしまいました。
いろんなことがあって、何から書いていこうか
悩んでいます。

私のつくる靴は
すべて手で縫う箇所があります。

ミシンでは心許無いところは
錐で穴を空けて、太い糸を交差させてしっかりと縫います。
革の表情をみながら程よい加減で
優しく力を込めて、祈りを込めて。

それはおまじないか、願掛けのような仕業です。

履く人のことを想いながら
靴をつくれる喜びが
あつらえ靴にはあります。

糸が切れてしまったら
また会いましょうのsignです。


写真は、先日糸が切れてしまった
スターネットの星さんへつくったオーダーメイドシューズ。
東京も、山も、これで行くのよ。と
いつも笑顔で話してくれます。