2012年6月30日土曜日

矢谷左知子さん

6月29日の官邸前の再稼働反対デモには
15万人以上の人があつまったと東京新聞1面に報じられていました。
毎週末、実施されてきたらしいのですが
回を重ねるごとに参加者が増えているようです。

それでも週末の夜という仕事の差し支えのない範囲でやることに
すこし疑問を持たざるをえません。
1つ何かを得る前に、1つ何かを手離すことでそれは可能になるからです。
山口の祝島では原発建設に反対するために、
島のおばあちゃんや住人たちが身体を張って訴えていました。
目の前の仕事や、目の前の暮らしよりも
大事にしたいものがある、そういう気持ちに自然と涙がこぼれてきます。

私がデモにとても抵抗があり、どうも参加する気持ちになれないのは
1つはデモで政治が動くと信じることができないから。
もう1つはデモのやり方がいつまでも欧米の真似事のようだから。

先週、葉山の友人に久しぶりに会ったのですが
その友人はデモ参加を呼び掛けるポスターをつくっていました。
目の前の自分のコトよりも優先して。
そのポスターは今までの無機質で暴力的な呼びかけとは違い
カラフルで友愛的な雰囲気があって、とても素敵なポスターだったんです。
彼女のつくるポスターには人を心から動かす力がありました。
再稼働や増税など民意とかけ離れた暴力的な政治に
朝に美味しいご飯を食べる感動が届けられたらいいなと考えてしまいます。
いっしょに香り高いコーヒーでも飲みましょうと誘いたくなります。

東京都民1000万人規模でキャンドルナイトとか
集まった15万人が声を上げるのではなく
ロウソクに火を灯し祈りを込めたら、きっと彼は感動するんじゃないかな。

矢谷左知子さん
そのポスターをつくっている私の大好きな友人です。
彼女に会って話をするだけで
いつも温かい気持ちになって
身体に蝕んでいたトゲがとれてしまう。
優しい方です。

チェルノブイリ事故をきっかけに
草(足もとにあるものやこと)を見つめ直し
原発がない社会、地球を傷つけない暮らしを
彼女は草を編むことで実現しようとしています。
そして、それに共感し自分の事として考える
たくさんの大人たちが集まりはじめています。
場所は彼女のアトリエ兼ご自宅、
「草舟on Earth」
わたしもここで多くの事を学んでいます。

2012年6月28日木曜日

ツバメとヘビと私

ツバメのその後ですが
巣が完成したと思ったら、雀の集団に襲撃を受けて
ずっと空中大バトルでした。
とうとうツバメが負けてしまい、いなくなってしまいました。

さびしい気持ちも薄れてきたころでした。
いなくなってから2週間ほど経ったとき
工房で仕事をしていたら、懐かしい鳴き声がすることに気付き
空をみたら2匹のツバメが巣に戻ってきてきました。
ちょうど妻も子もいない時で、この喜びを共有してもらえる人がいなかったのが残念で、
一人で「どこいってたんだよ~。心配してたんだぞ!」と興奮気味に話しかけていました。

そして先日、朝の散歩で玄関のドアを開けたら、大きなヘビとご対面。
逃げようともせずウロウロチョロチョロしていました。
以前、ツバメの卵をヘビが食べてしまうという話を前の住人に聞いていたのを思い出し、
もしかしたら狙っているのかな?と怪しんでいたのですが、これが的中。
午前中仕事をしていると、あんまりにもツバメが騒がしいので様子をみに覗いたら
その蛇が壁をつたって巣に猛接近していました。
反射的に「こらー」とその場にあったデッキブラシで追い払ったのですが
初めて見る弱肉強食の世界に少し膝が震えていました。

それは自然の世界なので
そのまま手を出さないほうがよかったのかなと、思い返しましたが
同じ場面に遭遇しても、たぶん見て見ぬふりはできないと思う。
人間には情がありますから。

その後は卵を温めているのでしょう、巣から可愛い頭だけひょこっと見えています。
キリッと守衛さんのようで、なんとも可愛い姿勢です。
卵を守る意志をビシビシ感じます。
私が起きている時間は助けてあげるから、大声で鳴くんだよと言っています。

ヘビに対してが私が寝ている間なら多少目はつぶろうと思っていますが
でも卵を食べるよりは
カエルとかネズミとかをちゃんと闘って食べてほしいですね。
卵を狙うのはちょっと横着でずるい。

それこそ
明日の朝もツバメの頭が覗いて見えることを
神に祈っています。

2012年6月26日火曜日

5でも7でもなくて、6。


先日はあつらえ靴のお客様の仮合わせをしました。
仮合わせというのは衣服の仮縫いと同じようなことで
試作の靴を履いてもらい、
履き心地や歩いたバランスなどをチェックする工程です。

ヒールの高さを確認するのですが
その方は(Nさん)はまず5ミリのヒールで立ってもらいましたが
落ち着きが悪いような感じがあり、10ミリのヒールだと前に不安定感があり
それならばと、この間の高さを1ミリずつ探ることにしました。
まず1ミリ足してみると、これがしっくりとくるようで
お腹に力が集まるとおっしゃいました。その場所は丹田と言われる場所です。
試しにもう1ミリ足してみると、これがまた不安定となり
見ている私も心地が悪い感じがします。
たった1ミリで身体がまったく違うものになる、これは本当に面白いことです。
このように靴を作っていると
不思議とその人の履き心地が伝わってくるようになりました。
Nさんが6ミリのヒールで立っている時の
しっくりと力強い姿から感じて、靴と相性が良いと直感が働く。
その話をNさんに伝えると
「それは気配ですよ。」と教えてくれました。

実はNさんは私の整体の先生でもあります。
靴づくりを学んだ私は卒業後、身体障害のある方の自助具などをつくる会社に勤めていました。そして、身体について興味を持ち、身体と道具の関係について考えるようになりました。靴はその中でも毎日身体に影響を及ぼす大事な道具であることが、実感できるようになったのは、このひとりひとりの身体に合ったモノづくりを続けてきたからだと思います。整体に興味を持ち始めたのはそのころです。
N先生とは友人のお宅で初めてお会いしましたが、その時は整体の先生とは知らず、
ただその家全体の気を変えてしまうような、温かく優しい気持ちが溢れている方で
家に帰ってからもずっと気になっていました。
また偶然お会いすることがあり、そこで尋ねてみると整体の先生であることがわかり
しかも道場も近くて、すぐに足を運ぶようになりました。

整体を学ぶことは身体をいかに使うかを学ぶことでもあると思います。
有機野菜を食べると身体はどう変わるんだろうか。
風の音を聞くと身体はどう変わるんだろうか。
足に合った靴を履くと身体はどう変わるんだろうか。
私が少しわかってきたのは
心が豊かになるということ。

心が豊かな人の気配は幸せな円の中にいるようです。

2012年6月24日日曜日

救いの手



原発を再稼働するスタートボタンを押すのは
総理ではない。
指示を受けそれを実行するのは
現場で働く一市民なんだろうと思う。
どんな気持ちだろう。
想像しただけで胸が張り裂けそうになる。とても苦しい。

彼は救いの手を差し出している。
だれかに代わってほしいと思っている。
作業員を今すぐ辞めたいと思っている。
でも家族の為に働いている。

総理大臣も
その彼に救いの手を出している。
そのボタンを押さないでほしいと思っている。
指示にそむいてほしいと思っている。
でも家族の為に働いている。

私は国と東電を憎み軽蔑しているけれど
どこかで確かに彼らを信じている。
大どんでん返しがあると信じている。
そう信じている人がどのくらいいるだろう。

過激な事を言うけれど
人を信じることができない世界なら早く終わったほうがいい。
神に祈るよりも人を信じたい。

2012年6月21日木曜日

ホタル

庭に小さな灯りがついたり消えたり。
ホタルでした。
私たちが近寄っても、ふわふわと飛んで、
ちょんと身体にとまります。

てのひらに包まれたホタルを
覗き込む我が子の顔が明るく照らされると、
笑っているような泣きだしそうな不思議な顔をしてました。

遠くからも子どもたちの賑やかな声が風に乗ってきます。
きっと家族でホタル観賞しているのでしょう。

ホタルが棲む庭の水路には
おばあちゃんが植えた花がいつも綺麗に咲いていて
朝が来るのが楽しみでした。

こんな素敵な庭なら夜も楽しみです。
来年はもっとたくさんのホタルが飛びまわるために
なにができるかな。
庭をまた違う視点で眺めることができました。

アマガエルも可愛い。
捕まえようとする小さい手。
ホタルのようにはいきませんよ。(カエル)




2012年6月19日火曜日

掌育

知り合いから聞いた話ですが
友人が通う鍼灸師養成校で
間違えて教室に入ってきた蜂をみんなで追い払おうとして
終いには出ていかない蜂を皆でたかって殺そうとしたらしいのです。
友人がそれを静止して自然に出ていくまで待つことができたらしいのですが
その恐ろしい狂気が今とてもぞっとします。
そこでは、癒す手を育てることよりも
ただの鍼灸の技法だけを教えていたのでしょう。
ただ試験に受かるように、ただ手に職をつけるために。

手と心。
手を育てるためには心を育てなければなりません。
心を育てることはたぶん生まれてからずっと続いていくことです。
人間らしく生きること。たぶんそれが一番難しい。
でもそんな素敵な人を私は知っています。
となりのおばあちゃんもその一人でした。
ここの暮らしで私も少し近づけるでしょうか。
心と心を通じてくれるのは手。
道徳や倫理、感謝は心から手を伝って宿すもの。
子どもに触れる手が優しく温かい手でありますように。



2012年6月17日日曜日

オーダーシューズサロン

無我夢中のとき
身体はゆらぎのなかにある。

波に漂っている感じ。
風になびいている感じ。

ふと我に返る瞬間があって
その瞬間、身体にロウソクの火が消えるような心地良さを感じて
次の瞬間にはもう忘れてしまって
再現しようにもどうもできない。

歩くことも同じように考えています。
履き心地があとから付いてくるような靴がつくりたいと思っています。
心地良さを感じるのは靴からではなく、
身体から心へ伝わってくるものだと思うからです。

先日、
スターネットオーダーシューズサロンにお客様Kさんがいらしてくださいました。
身体のバランスや履いている靴の状態など
2時間たっぷりとお話をしながら
最初のカウンセリングと靴の打ち合わせをすることができました。

Kさんは左右の脚長差が2~3ミリあることが原因で
右側に負担が大きくなっており
身体と靴がすこし歪んでいました。というと怖がらせてしまいますが、
それが原因で健康を害するような重大な問題ではありません、と私は思います。
そのくらいの差は誰にでもあって、それを補う力を私たちは持っています。
ただそれに気付いた私はなんだか放っておけなくなってしまって
ちょっとしたお節介をしているような仕事です。
それに付き合ってくれるKさんにとても感謝しています。
時間がどのくらいかかるかわかりませんが
ふとした瞬間に、
あれなんだか身体が良い感じだなって思ってもらえたら嬉しいです。


2012年6月15日金曜日

次代を担う子どものために

当然のことですが再稼働に反対しています。
総理の説明を聞き、どうしても納得のいかないところがありました。
私と考え方が違うという方のほうが良いかもしれません。

総理は次のように言いました。
「国民生活を守ることの第一の意味は、次代を担う子どもたちのためにも、福島のような事故は決して起こさないということであります。」
決して起こさないためには、安全対策を練ることでも避難訓練することでもなく、それには脱原発しかないと思うからです。
子どもたちのために原発は必要ないと私は思います。
子どもたちが安心して暮らせる未来は
安くてたくさんの電気が使える未来ではなくて
安全で貴重な電気を大切に使う未来だと思う。






先日、我が子の1歳の誕生日を無事迎えることができ、
親戚も集まり皆でお祝いをしました。
曽祖母がとても嬉しそうで、命のリレーが続く幸せを感じました。
いつの時代だって大人は子供の未来が幸せであってほしいと願っている。
自分の時代では叶えられなかった悲願を託し、
自分の時代の過ちを二度と繰り返さないように教訓がある。

子どもたちのために、いろんな考え方があると思います。
子どもの命よりも子どもへの資本的な豊かさを優先する考える野田総理に
深い嫌悪感を抱かずにはいられません。
福島の教訓は安全点検をしっかりしましょうという簡単なものだったのでしょうか?

100%事故は起きないと言い切ることはできない。
事故が起きた時、周辺住民や数多の生きとし生ける物たちを守れることもたぶん出来ない。事故の収束に命がけで立ち向かう人達も。
1年以上経っても得体の知れない放射性物質に悩み、
不安を募らせる日々を送る世界中の人々を無視して、
またそれを煽るようなことをなぜできるのだろう。
国民生活を守るために、どれだけのことを犠牲にするのだろう。
今も名も知らぬ誰かの犠牲のうえにこの利便性があることを
どれほどの人が知っているのだろう。
自分も含め、無知は罪だと思う。

2012年6月9日土曜日

母性

現代の社会には母性が足りないというお話を聞きました。
本当にそうだなと思います。

無償の愛
存在への感謝
自然の恵み

小学生のころ
ソビエト連邦が独立国家共同体という解体が起きた時を
今でも覚えていいます。
体育のバスケットボールで
自分のチーム名を独立国家共同体と名付けた記憶もあります。
その頃の私は自由や平等や個人の意味をアメリカと無意識に思い込んでいたような気がします。

それから約20年が経ち、
世界は再び大きな転換の時を迎えています。
もしこれからの時代に名前を付けるなら、
それは個人でも自由でも平等でもなく
ひとつは母性かもしれません。

父親になって子供の幸せを考えるようになりました。
子供の幸せが世界の幸せと同じことだって気付くことに
そんなに時間はかからなかったから
私にも少しは母性があるようです。

子孫を残すことが生物としての本能であり、大きな仕事だとしたら
子供を授かった私は生きることの役目を終えました。
でも、もう少し子供を育てたいと思うし、
やっと大人になったとも思う。
大人の仕事は子育てだとしたら
母性は誰にでも備わっていなきゃならない。
事実、みんなそれをもって生まれてきたんです。





母の心を伝える本
「母のこころを すべてに」佐藤初女


2012年6月5日火曜日

パタゴニアの南喫茶店とナイスタイムカフェ


甲府に友人夫婦が営む喫茶店があります。
私たちが靴屋を始めたころとほぼ同じ時期に喫茶店も始まりました。
名前をパタゴニアの南喫茶店と言います。
パタゴニアとは最果ての地の意味です。
なのでパタゴニアの南とは最果ての地のその先を意味しています。
そのメッセージは
長い長い旅の終わりに私たちが望むものはなんだろうと問いかけます。
その日が来るまで考えてみてもわからないけれど
彼らが教えてくれるように
そこに小さな喫茶店があればいいなと思う。
まずはコーヒーと甘いデザートを食べたいと思う。

彼らが毎日履いている靴は
天然素材でつくったカフェの仕事を支える靴。
無垢の真鍮やオイルレザーなど、彼らの美意識がカタチになった靴。
喫茶店のメニューにあります。
ご興味のある方は是非コーヒーといっしょに。

先日、完成したSPCワークシューズは
山梨に東京から移転して
4月にオープンした南巨摩郡富士川町のナイスタイムカフェを営む中村さんへ。
素敵な繋がりです。
その二つのカフェをつなげたのが
富士川町の昌福寺の存在でした。
私も昌福寺の岩間さんご家族が大好きです。

山梨でも富士川町は北杜市ななどと違って
まだまだ知名度もありませんが
だからこそ、
これから成熟していくであろうその小さな町の営みに
確かな希望を抱かずにはいられません。





2012年6月2日土曜日

非電化工房

3,11以降、非電化工房の藤村先生の名前を聞くことが
多くなったのではないでしょうか?
放射能について専門的な知識をもっておられ
那須を砦に先頭に立って除染活動や講演などをされています。
以前からご縁があり、お忙しいなかお時間を割いて頂き
引っ越してからやっとご挨拶に伺うことができました。

先生は、個人の幸福、他者の幸福、社会の幸福、
そのすべてが有機的に繋がることがこれからの課題だとおっしゃいます。

現に那須をはじめ全国には
みんなが幸せになることを願って、知恵を振り絞って
自由に愉しく共生的な仕事をつくる人々が現われはじめているようです!
そのひとりひとりがまた有機融合して
成熟した新しい民の文化へと移行していく、
それは本当に小さな動きかもしれませんが
いつか世界がひっくり返る日がくることを私は心待ちにしています。

恥ずかしながら
息子は私たち親以外に抱っこされることを嫌がります。すぐ泣きます。
ですが、先日は藤村先生に抱っこされて大喜びでした。よく笑ってました。
なんだかとっても嬉しい日でした。

藤村先生著「月3万円ビジネス」がとても面白いです。
地方で仕事を創

りスローライフを考えている方にお勧めです!

この本で私自身とても勇気づけられ
未来への希望だけが優しい先生の言葉で綴られています。

いいことしか しごとにしない
うばいあわないで わかちあう
月3万円ビジネスのオヤクソク  (本文抜粋)

わたしもこのルールに従って
いいことを考えています。お楽しみに。